WボトムやWトップは相場のトレンド転換点でよく形成されるチャートの形です。
Wボトムが出ればロング
Wトップが出ればショート
というのはFXを始めたての初心者でもよく目にする情報かと思います。
とはいえ「Wボトム、Wトップが出たから即エントリー!」をしていても勝率は低いままです。
現に「Wボトムが出たからロングエントリーして、そのまま下降して狩られた…」という経験をした方は多いと思います。
なぜならWボトムやWトップの形状だけでエントリーする場合、ダウ理論的にそれは現在のトレンドに対して根拠なき逆張りエントリーをしているだけなので負けまくるからです。
WボトムとWトップで勝つ為には、そのWがどこで形成されたのか?に注目することが重要です。つまりWボトム&Wトップとは別の根拠が重要になるという訳です。
別の根拠が重要な理由
WボトムやWトップはそれまでのトレンドの逆方向にエントリーするため、チャート形状以外の根拠はかなり重要になるのです
そのため、チャートの重要なポイントで形成されたWボトムとWトップは勝率が高く、それ以外で形成されるWボトムWトップはチャートノイズと同じで無視するだけで勝率が高くなると思います。
また、WボトムやWトップがなぜ形成されるのか?
というチャートの背後に存在するトレーダー達の大衆心理も理解していなければそもそもWボトムやWトップで勝ち続けるのは難しいです。
>>Wボトム&Wトップはトレーダー達の大衆心理によって形成される
今回は勝てるWボトム&Wトップと負けるWボトム&Wトップについて紹介します。
勝てるWボトム&Wトップ
WボトムとWトップで勝率を高めるには、WボトムとWトップのチャート形状の他に少なくとも根拠が別にもう一つ必要です。
Wボトム&Wトップのチャートが形成され、なおかつもう一つ別の根拠があれば、経験上やっと勝率は55%~70%程と高くなります。
Wボトム&Wトップで優位性の高い根拠は下記の通り3つです。
根拠 | 頻度 | 勝率 | |
① | レジサポ付近 | 多い | 55%~60% |
② | エリオット波動終わり | 普通 | 60%~65% |
③ | エリオット波動2波の部分 | 少ない | 65%~75% |
基本的に上記3つの根拠にどれにも当てはまらないWボトム&Wトップに関してはフル無視でOKです。
再度言いますが、根拠がWボトム&Wトップだけのエントリーは勝率が極端に悪くなるので注意が必要です。
WボトムとWトップは優位性のある根拠が別にもう一つあって初めて使える手法です。
また根拠が1つではなく2つ以上になると勝率はさらに高くなります。
例)「エリオット波動上昇2波中」に「日足のサポートラインをバック」に「Wボトム」など
それぞれ解説いたします。
レジサポ付近の重要水平線をバックにしたWボトム&Wトップ
冒頭で紹介した
「WボトムとWトップで勝つには、そのWがどこで形成されたのか?に注目する」
ですが、特に日足のレジスタンスラインやサポートラインの場所でWボトム&Wトップを形成すれば、信頼性が高くなります。
この重要水平線をバックにしたWボトム&Wトップは多く頻出し信頼性は高いです。
多くのFXプロトレーダーが水平線をバックにエントリーするのはそのためです。
レジスタンスラインのWトップ
レジスタンスラインをバックにWトップを形成してくると優位性の高いWトップになります。
下記はGBP/AUDの日足チャートになります↓
日足で確認できる前回の押し安値をした抜け、上の赤線がレジスタンスラインとなり、日足レベルの上昇トレンドが終了している状況↓
日足でWトップ↓が確認できますが、スイングトレードやポジショントレードでない限りは含み損を抱え続けてメンタルに悪いので、
デイトレや短めのスイングでトレードをするなら4時間足に落として日足のレジサポ転換した赤線のレジスタンスラインをバックにWトップを探してトレードポイントを探します。
日足は上昇トレンド終了でWトップを形成しつつあり、下降トレンドではありませんが、下目線優位です。
つまり下位足でWトップを形成すれば上位足と下位足共に目線は下方向で合致するためショートで入ると勝率が高くなる場面です。
下記は先ほどの日足を4時間足にしたチャートです↓
先ほどのチャートを4時間足にまで落とすと、日足レベルの赤線のレジスタンスライン付近でWトップを作っている個所が多く見られます↓
特に②のWトップはWトップの中にWトップが形成されており、ショートでエントリーする場合かなり勝率が高くなります↑
①のWトップはリスクリワードが悪いですが、下位足でWボトムが形成されるまで値幅を取れます。
Wボトムが出るとその後は上昇圧力が強くなるので微益でも撤退した方が良いです。
②のWトップでエントリーする場合、教科書的なエントリーで3回エントリーすることができます。
WボトムやWトップのエントリーポイントについては下記にて解説しています。
>>Wボトム&Wトップのベストなエントリーポイントと損切り位置は?
切り上げラインを下抜けて4時間足が確定してからエントリーすれば、下まですんなり落ちるので勝率の高いWトップと言えます。
このようにレジスタンスラインをバックに(特に日足レベルのレジスタンスライン)Wトップができれば勝率が高くなるので、積極的に狙いましょう。
サポートラインのWボトム
EUR/USDの4時間足チャートになります。
前回までレジスタンスされていた赤線を超えて、レジスタンスがサポートに転換した赤線をバックに4時間足でWボトムを形成してきている場面です↓
サポートラインをバックにWボトムを形成してくる場面ではロングの勝率が高くなります。
またこの場面では後程紹介するエリオット波動上昇2波の場面でのWボトムも重なっているため、非常に優位性が高く、切り下げラインに完全にタッチする前に勢いよく上昇しています。
この場合は根拠が2つあるWボトムになるため、切り下げラインうわ抜け突っ込みエントリーでもだましが少なく、そのまま上げていく確率が高く、勝率の高いWボトムと言えます。
エリオット波動終わりのWボトム&Wトップ
エリオット波動の基本原則として、上昇は5波、下降は3波で形成されます。
下降3波終わりのWボトム
エリオット波動は下降の場合3波で終了し、その後Wボトムを形成することが多いです。
下記はUSD/JPY2023年11月末ごろの1時間足です。
エリオット波動上昇5波に対して、エリオット波動下降3波が発生しています。
その後Wボトムを付けて、上昇しています。
エリオット波動下降3波終わりのWボトムの場合、高確率で切り下げライン、ネックラインに再度タッチしてから上昇する場合が多いので
このWボトムは切り下げライン、ネックラインの抜け後のリバースタッチを待ってからエントリーするとリスクリワードが良くなります。
とはいえリバースタッチでのエントリーはリスクリワードは良くなりますが勝率は55%程でそのまま戻っていくこともあります。
そのためロットの上げすぎには注意して下さい。
上昇5波終わりのWトップ
エリオット波動上昇5波終わりにWトップを形成し、反転下落してくることが多いです。
下記はGBP/JPY4時間足のチャートです↓
エリオット波動上昇5波終わりのWトップは上昇4波と5波と下降1波で形成されます。
エリオット波動2波で形成されるWボトム&Wトップ
僕個人の経験即ですが、Wボトム&Wトップの中でもエリオット波動2波で形成されるWボトムとWトップは勝率が一番高くリスクリワードが良いと感じています。
勝率の高いWボトム
このパターンの勝率は60~70%以上、リスクリワード1:3以上になる場合が多く、期待値が高いです。とはいえ頻出するチャートパターンではなく珍しいです。
この2波で形成されるWを見つければ、利確ラインは1波分取れるためリスクが低く反面リワードが高く、また勝率も高い傾向になるため、普段よりもロットを倍高くしてエントリーしてます。
エリオット波動2波のWボトム
先ほどのチャートでUSD/JPYの1時間足のチャートです。このチャートではエリオット波動上昇5波が出ています。
1時間足では2波の中にWボトムを視認できません。
しかし、1時間足で視認できる2波を15分足で見てみるとWボトムができていることが分かります。
そのため切り下げラインを15分足で引いていきます。
その後切り下げラインを抜けて15分足ローソクが確定しました。そのためロングでエントリーできます。
実際に僕はこのエリオット波動2波の15分足Wボトム、斜めライン陽線確定でエントリーし、1波分の利確をしました。
※ エリオット波動2波でWボトム&Wトップが発生した時の正しい利確ポイントは下記の記事にて紹介をしています↓
このようにエリオット波動の2波でWボトムを形成した場合、かなり優位性が高いWボトムになり、通常のWボトムやWトップでは切り下げラインやネックライン抜け後に、再度ネックラインや切り下げラインまでリバースタッチしに来ることが多いですが、
エリオット波動2波のWボトムの場合、上昇の勢いが強くリバースタッチを付けずにそのまま上昇していくことが多いです。そのため突っ込みエントリーでも勝率は高いです。
このWボトムはエリオット波動の理論で1波分の利確ができますので、リスクリワードが良く、多くの相場参加者が認識できる優位性の高いWボトムなので買いが多く入るため、このWボトムだけに絞ってロングするだけで勝率はかなり高くなります。
とはいえこの2波のWボトム&Wトップだけに絞ってエントリーすると、時間足にもよりますが1銘柄で1時間足で月に1~3回ほどしかエントリーチャンスは来ません。
エリオット波動下降2波のWトップ
エリオット波動下降2波のWトップも同様に勝率がかなり高いWトップとなります。
下記チャートは先ほどのUSD/JPYエリオット波動下降3波の1時間足チャートです。
赤線部分がエリオット波動下降2波となります。
1時間足で視認できる2波を15分足で見てみるとWトップができています
また、1時間足では切り上げラインが引けないので、これを15分足に落として切り上げラインを引いていきます。
つまり監視足は15分足になります。
このWトップは少し形が汚いですが、上髭を作りながら〇二点でダブルトップを形成し、右肩下がりのWトップで、かなり優位性の高いWトップです↓
ちなみにWトップはWボトムに比べて形状が汚い場合が多いです。
慣れないうちはWボトムだけに絞ってエントリーするのもアリです。
とはいえ下降2波のWトップはかなり信頼性が高いのでできれば見逃さないようにしましょう。
下降2波のWトップもかなり信頼性が高く、2波中にWトップを形成するとそのままストンと落ちていきます。
切り上げラインを抜けたら突っ込みエントリーでも勝率は高いですが、
抜けたと思わせてだましで帰ってくることもあるため、勝率を上げたい人は、切り上げラインを引くことができた時間足のローソク足陰線確定でエントリーすれば勝率は上がります。Wボトムも同様です。
この場合15分足で切り上げラインを引いているためローソク足確定判断も15分足でします。
ちなみに教科書的なエントリーは下図のローソク足陰線確定後のエントリーです↓
しかし、それだとリスクリワードが悪くなるため、僕の場合2波のWトップ&Wボトムに関しては切り下げラインを明確に下抜けしたローソク足でエントリーしています。
とはいえ、教科書的なエントリー方法も覚えておきましょう。
>>Wボトム&Wトップのベストなエントリーポイントと損切り位置は?
初心者にありがちなのが15分足で切り上げラインを引いておきながら、早とちりして5分足のローソク足確定でエントリーして騙されるパターンが多いので注意してください。
1時間足の切り上げラインなら1時間足ローソク足確定を待つ
4時間足の切り上げラインなら4時間足のローソク足確定を待つ
こんな感じです。
とにかく監視足で引いた切り上げラインを監視足のローソク足で下抜け確定するまでは待つべきです。
【蛇足】勝率を上げるWボトム&Wトップの形状
勝率を上げるWボトムとWトップの形状ですが、
Wボトムは右肩上がり、Wトップは右肩下がりだと勝率が上がります。
右肩上がりのWボトムは上昇圧力が強く、大衆心理としてはショートを利確したい人と新規で買いたい人が多くいるため前回の安値に届くよりも前に上昇し、結果的に右肩上がりのWボトムが形成されます。
右肩下がりのWトップはその反対で下降圧力が強く、大衆心理としてはロングを利確したい人と新規で売りたい人が多くいるため、前回の高値に届く前に下落し、結果的に右肩下がりのWトップになります。
とはいえ、
「右肩下がりだから下がるだろう」
「右肩上がりだからあがるだろう」
などと言ったチャートの形だけでエントリーを決めるのは悪手で、冒頭で話した通りあくまで根拠が別にもう一つあるときに、
「右肩上がりのWボトムが出ると、期待値が高くなる」という程度の判断で使いましょう。
負けるWボトム&Wトップ
なんの根拠もないWボトム&Wトップでエントリー
なんの根拠もなくチャートの途中でできたWボトムやWトップのエントリーは高確率で負けます。
というのも、重要な場面以外での根拠のないWボトムやWトップ単なる偶然にそう見えるようなチャートの形状になっただけにすぎず、大多数のトレーダーに意識されないからです。
またチャート形状だけのエントリーは、現在のトレンドに逆張りする形でエントリーすることになるため、高確率で負けます。
蛇足ですが、使っているチャートの種類によってはチャートを引き延ばしたりできます。このときにWトップができているように見えたりもします。
例えば「DMM FX」などのチャートはデフォルトで好きに縦に引き延ばしたりできます。
そのためWボトム&Wトップでエントリーする場合、勝率を上げるには根拠が別にもう1つ必要になるのです。
国内口座はなぜかMT4やMT5を採用せず、ほとんどが自社仕様のチャートなので注意が必要です。
上位足のトレンド方向とは逆方向へのエントリー
FXのほぼすべてのテクニカル分析に共通して言えることですが、下位足の流れはいずれ上位足の流れに飲み込まれるのが相場のセオリーなので上位足とは逆方向へのWトップ&Wボトムのエントリーは負けやすいです。
例えば日足、4時間足が下降トレンドに対して、15分足でWボトムを作った局面では、一時的に上昇したのち、再度下降する場面が多くなります。
そのため上位足のトレンドとは逆方向にエントリーする場合は、上位足の流れとは逆方向にエントリーしている自覚を持ち、謙虚利確する意識を持てないのであれば、エントリーするべきではありません。
上位足に逆らう場合、利確は欲張らずに明確な利確ラインで利確することと、逆行してきたらすぐに微益撤退か損切りするようにしましょう。
抵抗ラインが近くに存在するWボトム&Wトップ
「上昇エリオット波動2波でのWボトム、これは買いだな!」
このように根拠を複数見つけて勝率の高いパーフェクトなエントリーをしたつもりでも、
近くの抵抗ラインにあっけなく跳ね返されてUターンすることはあるあるです。このパターンで負ける人は大概上位足の環境認識不足です。
ちなみに僕はこのパターンでたまに負けます(笑)
特に4時間足、日足、週足のトレンドラインや水平線は多くのトレーダーに意識されますので上位足の環境認識は必須です。
抵抗帯に関しての詳しい解説は下記より↓
まとめ
Wボトム&Wトップ手法は、チャートパターンの他にもう一つ根拠があって初めて使えるチャートパターンです。
もちろん根拠があるからと言って、通貨強弱や環境認識が甘い状態でエントリーしても負けることもあるため、優位性がいくつも重なったWボトム&Wトップでエントリーしましょう。