Wボトム&Wトップのチャートパターンは、その背後にあるトレーダー達の大衆心理を理解しなければ勝ち続けることは難しいです。
Wボトム&Wトップが出れば単純に、
「Wボトム=ロング、Wトップ=ショート」
という思考ではなく、そこでWボトムやWトップが形成されたその背景にあるトレーダー達の心理
「欲望、葛藤、希望、失望」
それらの感情やトレーダー心理がWボトム&Wトップの形を作るということを知った上でエントリーするべきです。
それらの大衆心理を知ると、いかにWボトム&Wトップが形成される時に様々なトレーダー心理が交差しているかが分かると思います。
また、WボトムWトップが形成される理由としての、トレーダー心理を理解すると、WボトムやWトップのみならず、
いかなる相場でもどのポイントが大勢のトレーダーに意識されやすいのかを常に考えれるようになるため、
チャートパターンだけで取引しているだけの負け組トレーダーから一段階進化できます。
この記事を読むことで、WボトムやWトップというチャートパターンはただの形ではなく、各トレーダーの思惑や葛藤が反映され、なるべくしてなった形ということを深いレベルで知ることができます
Wボトム&Wトップが形成される時の大衆心理
※ 例としてWボトムで解説を進めますが、そこで起こっている大衆心理はWトップと同じです。
Wボトムが形成される時に起こっていること
・大量の売りの決済=買い注文の損切がネックラインに大量にたまる
・上手いショーターは抵抗ラインを見極め決済し始める
・逆行の不安を感じ始めたショート勢が利確し始める
・反発の兆候を察知した逆張りトレーダーの買い注文が入りだす
・ショーターの損切りを巻き込み上昇する
・相場を注視していたロンガーが参戦する
大まかですが基本的には上記の通りでして、図で解説した方が分かりやすいので図を交えて解説していきます
「売りの決済=買い注文」の損切がネックラインに大量にたまる
まずは相場において、着実に利益を伸ばしているトレーダー達の心理的にどこに損切りが置かれやすいかを解説します。
下降トレンドを例に挙げて解説します。
損小利大を心がけるトレーダー
トレンド相場において順張りしている中長期の勝ち組トレーダーはチャートの戻りを付けたすぐ上の箇所にトレール方式で損切りラインを引き下げ、ストーカーのように利幅を伸ばして利大損小を心がけます。
「多少含み益が減ってもいいから、トレンド継続の可能性がある限り利益を伸ばせるようにしよう」
このように、できるだけ利幅が乗るように、取れるところまで取ろうとするトレーダー心理により、
トレール方式で損切りラインを利益方向にずらしてくるため、結果的にネックラインに多くの損切りが集約します。
利大損小を心がけるトレーダーは利益をどこまでも伸ばせるように、適当な所で利確せず、
トレンドが継続する限り、損切りラインを利益方向へずらし続けます
特にトレード経験が豊富なトレーダーがよくやります
このように上から売っているすでに勝っているトレーダーは下降トレンドが終了する部分、
ダウ理論的に下降トレンドの根拠が崩れる部分などに損切りをずらし続けます。
そのため、上の図の赤線の節目のラインにたくさんの売りの決済=買い注文の予約が入っています。
このように最終的にWボトムのネックライン付近には大量の決済注文が溜まり始めます、売りの決済はつまり買いの注文です。
上手いショーターは抵抗ラインを見極め決済し始める
Wボトム形成最初期段階において、
上手いトレーダー
まず初めに上手いショーターはあらかじめ意識されそうな抵抗帯を見極めていて、抵抗帯のぎりぎりのラインのすぐ手前で利確撤退し始めます。
「すぐ下に意識される抵抗帯があるな…いったん利確して様子見だな」
そのため、冷静でマルチタイムフレーム分析が上手いトレーダーは、
あらかじめ抵抗されるであろう箇所を前もって意識しているため、底を見極め利確することが多いです。
また、それと同様に抵抗帯付近で反発ラインを見極めロングエントリーを仕掛ける上手いトレーダーや反発狙いのスキャルピングを仕掛けてくるトレーダーも多くなります
「強い抵抗帯があるな、お試しロング発射」
そういった理由で、底2点を打ちWボトムの形の一番初期の形が形成され始めます。
逆行の不安を感じ始めたショート勢が利確し始める
底で2点を付けて反発してくると、少なからず上から売ってきたショーター達は
「もしかして反発して上がってくる?なんか抵抗帯にぶつかったかな?利確しようかな…」
と感じ始めます。
弱気なショーター心理
ショーター達は反発の兆候をみて、徐々に不安や弱気な気持ちになってきます。
そしてショーター達の不安や弱気といった心理は「売りの決済注文」という形となりチャートに反映され、徐々に値段が上昇し始めWボトムの形を形成し始めます。
ショートの決済はつまり買いの注文になるため、どんどんチャートがWボトムの形を作り始めます。
とはいえこの時点では完全なWボトムとは言えずに、そのまま下降トレンド継続のパターンもあります。
反発の兆候を察知した逆張りトレーダーの買い注文が入りだす
そしてWボトムの兆候を察知したい逆張りトレーダーのロンガー達が
「ショーターを焼き払え!」
とでも言わんばかりに希望と期待を胸に抱きながら、買い注文を入れてきます。
強気のロンガー心理
反発の期待が高まり下降トレンド終了だと感じたトレーダーが買ってきます
ショーターの損切りを巻き込み上昇する
そして、とうとう売り買いの攻防に決着がつき、ネックラインを抜けてWボトムが完成し
、ショーターは下降トレンド継続はなくなったという失望と絶望をかんじます。
「ギャー終わったー!」
この時あらかじめ損切りラインをネックラインの上に設定していた大量のショーターの損切りを燃料に、デカい陽線が発生します。
また損切りラインを設定していなかったショーター達も慌てて損切りを入れ始めるのでさらに値段は上がります。
絶望のショーター心理
下降トレンドの終わりを突き付けられ絶望を感じたショーターが撤退します
相場を注視していたロンガーが参戦する
ネックラインを完全に割り、Wボトムが完成後、価格が上昇する期待値が高いと判断すれば、それまで注視していた常勝勝ち組トレーダーが参戦してきます。
勝ち組トレーダーの心理
淡々と勝負がついた方向へポジションを持とうとします
完全に勝負がついたと確信した後に参戦してくるトレーダーは基本的にギャンブルトレードをしない、常に期待値が高い方向へエントリーする、ヘッジファンドや勝ち組トレーダーなので、淡々とタイミングを見計らって莫大な資金でロングしてきます。
Wボトム&Wトップでネックラインに一度タッチしにくる市場心理
Wボトム&Wトップではネックラインを明確に抜けた後、再度ネックライン付近まで値段が戻ってくることがあります。
その時の大衆心理は大まかに下記の通り
それぞれの思惑が交差する
・騙しやネックラインのタッチに警戒したロンガーが決済を入れる
・騙し上げだと思ったショーターが売ってくる
・建値決済で撤退したいトレーダーの損切を巻き込んでいない
・明確に抜けたことを確認してから参戦機会を虎視眈々とうかがっている常勝トレーダーはまだロングで参戦していない
騙しやネックラインのタッチに警戒したロンガーが決済を入れる
騙しやネックラインへのタッチで値段を戻すことを警戒したロンガーが「買いの決済注文=売り」を入れ始めます。
騙し上げの可能性があるから一旦ロング利確!
また騙し上げだと思ってここの価格から売ってくるショーターもいます。
どうせ騙し上げでしょ?売れ売れ
その結果ネックラインを越えてぶち上げた価格が再度戻ろうとする動きを見せます。
建値決済したいトレーダーの心理
ネックラインを越えても下からショートをホールドしているショーターもいます。
「お願いです神様、少しでもいいので値段を戻してください…」
ネックラインを明確に抜けて、損切りできずに冷や汗と含み損を抱えながら持ち越している負け組ショーター達は、
せめて建値付近まで値段を戻してくれ~と神様にお祈りしています。
そんな神様へのお祈りが通じたのか、徐々にネックラインにまで価格が戻ってきました!
そして含み損を抱えたお祈りショーター達の「ヤレヤレ決済=買いの注文」が始まります。
こうしてネックラインを再度試し、含み損を抱えたショーターのヤレヤレ決済を燃料に再び上昇するのです。
常勝トレーダー参戦
その後反発を確認し、ズーっと相場を注視していた待つことの重要さを知っている常勝トレーダー達が下位足でエントリータイミングを見定め参戦し始めます。
その後激しい上昇を見たFX初心者が我先にと衝動買いし始め、あっという間に上昇トレンドになり値段はぶち上ります。
ざっくりですがWボトムやWトップのネックライン付近ではこんな感じの攻防が起きています。
こういう大衆心理によりチャートはネックラインを再度確かめる動きをすることが多いのです。
まとめ
ここまで見ていただいた方にはもうお分かりだと思いますが、
WボトムやWトップというモノは市場参加者のそれぞれの思惑が交差し、人間の心理が揺れ動いた結果、なるべくしてなったチャートパターンであることに気づきましたね?
ただ単純に、
「Wボトムだ!ロングだ!わー騙しだー負けたー!」
とチャートパターンだけにとらわれずに、そのチャートパターンの向こう側のトレーダー達の心理を常に意識していけば、
どこで値段が飛び跳ねるのかが徐々に分かるようになると思います。